木蘭さんの「書く習慣」

アプリ「書く習慣」で書いた文章や日々の書写など

書く習慣

お題: 天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、

そう言うと、あなたはいつも黙ってしまう。 待っても待っても、その後に続く言葉が 聞こえてくることはなかった。 私が、悪魔と化した大波にさらわれて あなたとともに生きるのを断たれてしまった あの日からずっと。 今日もまた、天気の話だけだと思ってい…

お題:昨日へのさよなら、明日との出会い

毎日19時、お題が更新された瞬間から私の苦悩は始まる。来る日も来る日も、まるで宿題に頭を抱える小学生みたいだ。 とにかく、思いついたことをiPhoneのメモアプリに書き連ねていく。創作モノは、いくつかのシチュエーションを用意して書き出しとキーフレー…

お題:透明な水

「透明な水 イラスト」とネットで調べると、検索画面は濃淡取り混ぜた青色で溢れていた。 「じゃあ「透明」っていったい何なんだよ?」と、デザイナーの小橋は思う。もともと作品制作のための参考資料として調べていたのだが、もはや作品そっちのけで「透明=…

お題:理想のあなた

お題が出たらすぐ文章が書けること。 できればお題発表後、30〜1時間くらいで1つの作品が書けたらこの上なくカッコいい。 しかも、「あなたの作品をまた読みたいんですっ‼︎」っていう意思表示をしていただけるようなものが毎回ご提供できたらば、それはもう…

お題:突然の別れ

いつかこんな日が来ることはわかっていた。でも、それはもうちょっと先のことだと思っていた。さよならも告げず、急に旅立ってしまうなんて。 いつの間にか、一番近い存在になっていた。手を伸ばせば、いつでも触れることができた。そばにいるのが当たり前に…

Midnight Rainbow

恋をしたから小説家になった、 なんて言ったらあなたは笑うでしょうか。 なかなか眠りにつけない10代の頃、私の傍にはいつもラジオがありました。ボリュームは、いつも絞り気味。流れてくる声も音楽も、微かに耳に入る程度で聴くうちに、いつの間にか眠って…

お題:真夜中

「かぁしゃ〜〜〜〜〜ん‼︎」 真夜中、眠っているはずの息子が大きな声で叫ぶ。夢でも見ていたんだろうか。幼稚園に通うようになってから、時々こういう夜がある。 「ハヤト、どうした?」 俺は、息子の背中をさすりながら名前を呼ぶ。 「かぁしゃんは? かぁ…

お題:愛があれば何でもできる?

愛があれば、何でもできる。少なくとも、今の私はそう思っている。愛する我が子のためならば、たとえ家庭科の成績が万年芳しくなかったこの私でも、幼稚園に持っていくお弁当袋くらいは手作りで用意してあげたい。 できるはずだ。いや、できなきゃいけない。…

お題:後悔

あっ、やべっ。傘忘れた。 いつものカバンになら、小さめの折り畳み傘が入ってたはずなのに。何で今日にかぎって、別のカバンを持ってきちゃったんだろう。 いわゆるゲリラ豪雨の最中、俺は己の行いを激しく後悔していた。そもそも、今朝の占いでラッキーア…

お題:風に身をまかせ

「ええか、コウキ。風に身を任せていれば、人生何とかなる。それでええ」 それが親父の口ぐせだった。 「人生には何度も何度も風が吹く。追い風のときもあれば、向かい風のときもある。そよ風みたいに爽やかに吹くこともあれば、台風みたいに強く激しく吹く…

お題:おうち時間でやりたいこと

「へー、『人気作家がおうち時間でやりたいこと』ですか。そりゃあ原稿を書くこと、ですよねぇ?先生」 「俺がやりたいことを勝手に決めるな。だいたい、お前が俺のことを先生って呼ぶときはロクなことがないときだぞ、柏木」 「ロクなことがないって、それ…

お題:子供のままで

突然の事故で両親を失ったとき、周りの親族は自分の都合ばかりを主張して、誰一人として僕を引き取ると言わなかった。 たまたまその場に居合わせた早苗さんは、大学時代からの両親の友人だった。彼女は、互いに責任を押し付け合う親族から僕のことを遠ざけ、…

お題:愛を叫ぶ。

私、東雲初芽(しののめはじめ)はクラス担任の鈴木先生から「しののめめ」と呼ばれている。入学したときから卒業を間近に控えてもなお、顔を合わせるたびにこう呼ばれては生徒から集めた課題のノートやプリントを準備室まで運ぶよう命じられた。 「先生、「…

お題:モンシロチョウ

「とおしゃん、みてみて! かあしゃんのちょうちょ、いるよ!」 そう言って、ハヤトが庭先でひらひらと舞うモンシロチョウを指差した。 「ぼくのおべんとぶくろといっしょだ!」 嬉しそうにはしゃぐハヤトの手には、菜の花の周りを舞うモンシロチョウを刺繍…

お題:忘れられない、いつまでも。

「すみません、それをください」 自分の親より遥かに年上のその男性は、店に入るなりある商品棚を指差した。 「いらっしゃいませ。ありがとうございます。どちらの商品でしょうか?」 「それです。青い縞の、太めの、それ」 男性が指差していたのは、数万円…

お題:一年後

えっ、何これ。街頭アンケートってやつ? 「一年後のあなたは何をしていますか」って…ダメダメ、ダメだよこれ。 だって俺、余命半年だからさ。 さっきまで病院にいてね。定期検診ってやつ。ちょうど半年前に余命宣告されてんのよ、俺。だから、ホントは余命…

お題:初恋の日

違う。 あたし、あの日からずっとあなたに恋してるんだ。 憧れだとかファンだとか、そんな言葉で誤魔化して自分で自分の心を見えなくしてた。何年も何年もかかってしまったけど、やっと気づくことができた。 私にとって、あの日は間違いなく「初めて恋が始ま…

お題:明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。

本日最初のメールは、ラジオネーム:せかいのおわりちゃんから。「明日、世界がなくなるとしたら何を願いますか?」いや、とりあえず今日を無事滞りなく終えられるようにって願ってますよ。何せ、8年間のラストを飾る大事な日なんだから。1年続けば大したもん…

お題:君と出逢ってから、私は…

今年度から、私は地元の総合病院で医療従事者として勤務している。この種の仕事に就くことなど考えてもいなかった私を導いてくれたのは、間違いなく同級生のマナトだ。 愛される人、と書いてマナトというその名のとおり、彼は誰からも愛される存在だった。勉…

ときどき雲と話をしよう

いつもより早めに仕事を終え、抜けるような青空の下、流れていく雲の行方を見つめながら、ふと思い出した。そういえば、今日は年に1度のお祭りじゃないか。ここ数年、コロナ禍で中止になったり大幅に規模を縮小していた、我が街の祭り。今年はようやく、コ…

お題:ありがとう

あれは、高校1年生のとき。 日直だった僕は日誌を書き終え、担任だった先生に提出した。いつもなら「あぁ、ご苦労さん」で終わるのに、その日は日誌に目を通した先生が僕を呼びとめた。 「お前、ホント文章書くのが好きだよなぁ」 それは、感心しているとい…

お題:優しくしないで

トオルと暮らし始めてもうすぐ3ヶ月。たまたま参加した飲み会で、共通の趣味がパズルだということで意気投合した。彼は漢字ナンクロ、私は数独(ナンバープレース)と好みのパズルは違ったが、「相手が好きなパズル雑誌を毎月発売日に買ってくる」のが同居し…

お題:カラフル

駅前にある喫茶店「カラフル」は、私が小学生のときから通うお店だ。共働きの両親は、いつも帰りが遅かった。だから、いつも学校が終わって真っ直ぐ向かったのは我が家ではなくこの場所だった。「いらっしゃい、ユミちゃん!」いつも笑顔で迎えてくれるのは…

お題:楽園

幼い頃、じいちゃんが亡くなったときに「人は死んだら何処へ行くの?」とばあちゃんに聞いた。ばあちゃんは「人も虫も魚も鳥も、みぃ〜んなみんな『楽園』に行くのよ」と答えてくれた。長い間、それは『天国』のことだと勝手に理解していた。 ばあちゃんが亡…

お題:風に乗って

便利になったというか、何というか… ついさっき手元に届いた「同窓会のお知らせ」を目の前にして、複雑な思いを抱いた。 少し前まで、こういう郵便物や通販の商品などは配達員が玄関先のポストに入れるか、時には玄関先までやってきて「すんません、ハンコく…

お題:刹那

「せつな」という名前の由来を知ったのは、小学生高学年のときだった。学校の授業で自分の名前の由来について調べる機会があって、両親に聞いてみたのだ。母が、私が生まれたときのことを話してくれた。あなた、生まれてくるときよっぽど胎内で暴れたんでし…

お題: 生きる意味

新曲が出るまでは アルバムが出るまでは ライブに行くまでは DVDが出るまでは 雑誌のインタビュー記事を読むまでは 来週のラジオプログラムを聴くまでは 来月の「Covers」を観るまでは 「ウクレビ」(ウクレレ)が届くまでは 病気療養中のVOHさんが復帰する…

お題:善悪

昨日、たまたま見つけたスーパー戦隊シリーズのタイトルの中に気になるものがあった。 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー え? 怪盗と警察? フツー考えると怪盗が悪で警察が善であるはずだけど、どちらに「レンジャー」ついてるし。しかも…

お題:流れ星に願いを

こんばんは。調子、どうですか? こないだ送ってくれた空の写真、燃えるような夕焼けも穏やかな青空も、とてもとても綺麗ですね。 あなたのいる場所の景色は、いつも明るくて美しくて穏やかで、きっとあなたはいつもどおりの日常をその景色の中で送っている…

お題:ルール

我が家には、夕食に関するルールがある。名付けて「食べる人作る人洗う人」方式。要するに、家族内の分業制である。ただし、父と我が相方の2人は常に「食べる人」。私と母の2人が交互に調理と片付けを担当することになっている。 少し前までは、私が夕方まで…